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おすすめ作品 Secret rose garden 手がかりは、、、第11話

手がかりは、、、 ~Secret rose garden

エマは勇輝の話に同意するように顔を縦に動かす。目的は全く違うけれど、それでも目標に向かって進むその姿勢は、とても共感できた。

「勇輝さんの本が出たら、ぜひ私にも読ませてください」
「……はは、嬉しいな」

照れ臭そうに頭をかいた勇輝だったが、エマの言葉にはしっかりと頷いた。

「私の今の目標は、おばあちゃんのお墓を探すことなんです」
「……うん」

そして勇輝の話を聞いたエマは、自然と口を開いていた。
何かを感じ取ったのか、突然の話題転換に声を上げることなく、勇輝は静かにソファに座り直す。

「私の家族はもうすでにいないんですけど、その家族で思い出として手元に残ってるものがおばあちゃんのものだけだったんです……。けど、どうしても自分の家族のことが知りたくて、おばあちゃんの記録を頼りに、私は旅をしてるんです」
「うん」

勇輝は余計なことは言わず、ただ、相槌を打ってエマの話に耳を傾けた。勇輝のその姿勢に促されるように、エマはポロポロと言葉を吐き出していく。

「もう、探し始めて二年になりました」

話の組み立てなんてできてなくて、浮かんだ言葉がそのままエマの唇からこぼれ落ちるだけ。支離滅裂な内容にも関わらず、勇輝は止めもせず、疑問の声もあげない。

「いろんな人が、協力してくれて……、でも手がかりは一つも見つからなくて」

二年間という長い間。エマは止まらずにずっと、カミーユを探して走り続けていた。弱音も一切吐かず、後ろを振り返ることもせず。ただ、前だけを見てずっと走り続けていたのだ。
そんなエマが、初めて口にした弱音。

「わかっているのはおばあちゃんの名前だけ、そこからフランス人だろうって予想はついたけど、それだけじゃ手がかりが少なすぎる。それは、私もわかってたつもりでした」
「……うん」

エマの瞳から、涙が溢れることはなかった。淡々と発せられる言葉たち、それでもどこか痛々しいその姿に、聞くことしか出来ない勇輝は目をそらさず、エマの話を耳に入れていく。

「けどフランスへ来てから。いえ、来る前から……、たくさんの人が私のわがままに手を差し伸べてくれたんです。話を聞いてくれて、本当に無償に近いような対価で、私に協力してくれるんです」

エマは自分の手のひらに視線を落としたまま、唇を小刻みに震わせた。

「おばあちゃんが見つかる可能性が高くなるにつれて、見つからないこの時間が歯がゆくて、早くみなさんにもいい報告がしたいって思うのに、うまくいかなくて。少し、落ち込んでいました」

そこで、自分のことを話し始めてから初めて、エマは勇輝へと視線を向けた。

「でも、勇輝さんの話を聞いて、自分の意思を、目標を再確認することができました」
「……うん?」

突然のエマの方向転換に、勇輝は話の意味を理解できず、相槌を打とうとしてそのまま小さく首を傾げた。

「私は、おばあちゃんのお墓を見つけたい。自分の家族のことを知りたい。この気持ちは絶対変わらない」
 
そこでようやく、勇輝は自分の話がエマの話に繋がることを理解する。少しだけ照れ臭くなって首筋に右手を当てながら、勇輝はわずかに微笑んだ。

「手がかりが少ないからこそ、地道にコツコツで進むしか無い。今まで通りで、良かったんですよね」

エマの瞳は、まっすぐと前を向いていた。弱音を吐き出していたときと違い輝いているその瞳に、勇輝は一瞬目を奪われる。

「そしていつか協力してくれたみなさんに、『見つかりました』って笑顔で報告するんです。私もそう思えば、どんなに辛くとも頑張れる」

グッと力強く握り締められたエマの両手。途中から上げられていた顔はもう、しっかりと前を向いていて、先ほどまでの重い雰囲気は影も形もない。

「ありがとうございます。勇輝さん」

ふわりと花が咲いたように笑ったエマに、自分はなにもしていないと、勇輝は首をゆるく左右に振った。

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