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ニューオリンズと共に 2(仮)長編現代小説[40代お酒好きママの挑戦]

※1話後半少し見直ししましたので、よろしければ再度チェックお願いします。

ニューオリンズと共に 2(仮)長編現代小説40代お酒好きママの挑戦]

しかし、平穏な日々は突如終わりを迎えた。

 記録的な大雨と評されるほどの雨が、止むことを知らず毎日のように降り続いたのだ。そんな雨のあとにやってきたのは、大型のハリケーン。

 2005年8月末、最初に上陸したカリブ海沿岸の米南部などを中心にハリケーンの被害があり、フロリダ州などでも死者が出た。しかしその後再上陸後のミシシッピ州、ルイジアナ州での被害の方が大きい。ミシシッピ州のガルフポートやビロクシといった湾岸都市、ルイジアナ州ではポンチャートレイン湖に面するニューオーリンズが壊滅的な被害を受けた。ニューオリンズでは湖や工業水路などの複数個所で堤防が決壊した事が原因で、陸上面積の8割が水没した。

 中でも、ロウワー・ナインス・ワード等の湖に面した高級住宅街レイクビューの各地区が特に大きな被害を受け、上陸前から避難命令が出ていたにもかかわらず、ルイジアナ、ミシシッピ州などで1800人以上が死亡、約120万人が避難したアメリカ史上最大級の自然災害となった。

 セナの家や、マーキーを含む殆どの建物も水没し、この地域全体が再建できる目処は未だ立ちそうもない。

 セナ達一家は、普段プロ野球で使用するメルセデス・ベンツ・スーパードームに避難出来たものの、水道やガス、電気もない。水没した家に行って片づけをしたり、使えるものを探す毎日。そして、1日1度しかない無償で提供される炊き出しに並んだ。

「これから、どうすれば生活していけるの?」

 セナは避難先で、両親と今後についてよく話し合った。家もなくなってしまった今、ニューオリンズで暮らしていくことは難しい。未だマイクやジョッシュ、そして友人達の安否も分からぬままだ。

 何度も話し合いを重ね、ライフラインが開通してすぐ、両親は各々の実家にも連絡を入れた。その結果、東京の中野区にあるセナの母親の実家に住まわせてもらえることになった。

 ハリケーンによって破壊された家、奪われた荷物。持っていけるものなどほとんどなく、引越しの準備はすぐに終わった。

 今日、セナとその家族は、生まれ育ったニューオリンズを去る。ずっと暮らしてきたこの地にいられないのは悲しいが、家をなくした人たちはセナたち家族だけではなく、寝泊まりする場所は足りない状況なのだ。

 わずかしかない食料を奪い合う。そんな光景を頻繁に目撃するほどに、厳しい現状。

 このような状況で、「残る」という選択肢を選ぶことができるはずもなく、セナたち家族は後ろ髪を引かれながらもニューオリンズを去ったのだった。

「ジョッシュ、みんな、無事で居て……」

 ニューオリンズからセナの母の実家までは、約16時間。飛行機の窓から、どんどんと遠くなる生まれ育ったニューオリンズの大地を見下ろして、故郷を離れる寂しさや、ジョッシュや友人達の安否を願いながらセナは胸が締め付けられていた。

 ハリケーン以降気を張っていたからか、セナたちは飛行機の中で眠りに落ち、気づいたら日本に到着していた。飛行機をおり、電車を乗り継いで中野区にある目的地まで向かう。

「みんな大変だったねぇ……。狭いところだけど部屋を準備したから、まずは体を休めてゆっくりしてね」

 玄関のチャイムを鳴らせば、出てきたのはセナの祖母である生川サチヨ。玄関の中にセナたちを入れると、心配そうにそれぞれの顔を見つめて、穏やかな声でそう言った。

「お世話になります」

 屋根がある、家があることの安心感や、いろんな気持ちが積み重なり、セナは目頭が熱くなる。セナの父と母も同じだったようで、三人揃って掠れた声を出したあと、深く頭を下げたのだった。

 この先ずっと、祖父母の家に住まわせてもらい、お金の援助を受け続けることはできない。次の日からセナの両親は急いで仕事を探し、祖父母の家にきてからわずか数日程度で新しい職を見つけた。

 母は、ボーカル教室の先生。そして父は、英会話教室の先生と音楽楽団のトランペット奏者の掛け持ちだ。セナもまた、少しでも家計の助けになろうと求人雑誌で見つけた貿易関係の会社で通訳や翻訳の仕事に就いた。

 セナたちは、祖父母の負担を軽減させるために、とにかく必死で働いた。

 大変だったが、それでも折れることなく働き続けられたのは、ニューオリンズでの幸せだった日々を思い出しながら、家族みんなで前を向いて生きていこうと決めていたからだ。

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